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2004年08月05日

ローマのタクシー

それにしても、ものすごい運転。仏映画「タクシー」でサミー・ナセリが演じたタクシードライバーを地で行くようなかんじ。ローマ時代からの街並みは車が走りやすい道路など多くない。石畳あり、車線はなし、狭い、狭い上にずらーっと路上駐車の車(所によっては、2重3重駐車)がさらに通行路を狭くしている。こんな道を走り好きイタリア人の老若男女が我先にと走り回っている。信号のない交差点やらロータリーでは、自分の車の鼻先をいかにほかの車よりさきに突っ込むかを競い、平行して走る車同士はにわかに競争が始まる。
こんなローマの道路事情のなか、このタクシー、どんな狭い道路でも遠慮なくびゅんびゅん飛ばし、目の前に少しでもスペースがあるなと思うとすぐアクセルを踏み込み割り込んでいく。車はフォードのモンデオだけどなかなか加速がいい。アクセルを踏み込む度に体がグーっとシートに押し付けられる。カーブを曲がるときは、インを果敢に攻めて先行車を追い抜きにかかる。だから横Gもきつくどこかにつかまってないとまっすぐ座ってられない。道はでこぼこも多く、まさに前後上下左右にと3次元全方位フルに翻弄されてしまう。
こんな具合に揺られること約10分。目的地のトレビの泉に到着。ジェットコースターばりの運転が終わり、深く一息ついて、お金を払おうかなとメーターの金額をみる。5,95ユーロとの表示。6ユーロでいいなと小銭をじゃらじゃら数えていると、運転手がトレンタチンクェといっている。トレンタチンクェは35だよな?ユーロで?35ミッラ・リラかな?
「クアント?エっ、いくら?」と私。
「トレンタチンクェユーロ。」と運転手。
はじめは聞き間違えかと思い何度か聞きなす。乗ってきたのは時間にしてものの10分弱。距離にしても5-6キロのものでしょう。何度聞いてもトレンタチンクェ。やはり35ユーロ。しまいには、運転手は紙に35と書いてきた。なんで?ねぇどうして?ねぇ教えて。
メーターは、5,95だよ。なんで35ユーロも払う必要があるの?と身振り手振り、フランス語・英語取り混ぜてやりかえす。
「今日は特別な日でメーター料金以外に28ユーロ追加料金が必要なのだ。」と、のたまう運転手。
今日はどんな日だ?ただの土曜日だろう?そういえば、イタリア対スコットランド(ワールドカップ前の練習試合みたいな感じ)の試合があるとは聞いたけどサッカーの試合のために追加料金をとるのか?まだ、試合の時間ではないはずだし…。余談ですが、この日はこの試合のためローマの町中にキルト姿のスコットランド人が大挙して押し寄せてきていた。スペイン広場、バチカン、トレビの泉など観光名所はどこもかしこも、タータンチェックのスカート姿の紳士ばかり。人だけ見ていると、スコットランドのどこかの町に迷い込んでしまったよう。私は、キルトを見るとなぜかバグパイプの音色が頭の中で響きだすのだ。知らず知らずのうちにどこかでキルト=バグパイプと刷り込まれてしまっているのでしょう。そんな具合だから、サンピエトロの壮大な威容に感嘆しトレビの泉のバロック彫刻のネプチューンの迫力に圧倒されながらも、キルトが目に入るととたんにバグパイプの甲高い音色が頭の中で響きだしてしまう。
普通なら、パイプオルガンやチェンバロの音色でバッハが鳴り出すはずなのに…。
ローマにきてスコットランドの雰囲気も味わえてと一度で二度美味しい思いをしてなんか得したような、ローマの雰囲気を壊されてなんか損をしたような複雑な心境でしたね。

本題にもどりますが、それにしてもこの追加料金は法外だよな?いくら特別追加料金だといったって普通料金の5倍もする追加料金なんて聞いたことないぞ!たとえ28ユーロの追加料金が万が一ほんとだとしても6足して34だろうが?1ユーロ高いじゃないか。足し算もできないのか、それともわざと間違っているのか?どちらにしても、怪しいなこの運転手。などと、普段はあまり働かない頭をフルに稼動させて考えてみる。
「おれは、そんな28ユーロの追加料金なんて払うつもりはないから6ユーロだけおいてくよ、セイユーロ!セイユーロ!OK?」
「ノー、ノー トレンタチンクェ!」
「ノーだと?よしわかった。あくまでノーというならポリスだ!ポリスへ行こう。ちょうど、あそこにポリスがいるからポリスと3人で話しあいだ!」と、タクシーをおりてポリツィア!ポリツィア!と叫んでやった。
いちおう正規のタクシーだから、観光客に法外な料金を吹っかけて警察沙汰になるのはまずいはず、と想像した通り。トレビの泉など観光客の多い=すり・引ったくりの多い場所には警察官が控えているので、私の声が警官に聞こえるとまずいと思ったのだろう。運転手、とたんに血相を変えて「セッテユーロ、セッテユーロ!」と、1ユーロコインを三つ用意して運転席からおりてきた。追加料金なんてやっぱりうそなんじゃない。やっぱりね。そうだろねぇ。
とりあえず、「28なんて嘘じゃねぇーか!このバカ運転手。セッテは7だな、ほれ10ユーロやるからちゃんと3ユーロ返せ!」などと、ぶつぶつひとりごちながら、10ユーロ札を渡して3ユーロを運転手の手からもぎ取ってやった。どうだ、やっぱり正義は最後に勝つのだ!ハハッ!フン!などと鼻の穴をひろげ胸を張り1ユーロコイン3つを握り締めた右手の拳を天に突き上げ勝利のポーズをきめているうちに、タクシーはそそくさと走ってどこかへ行ってしまった。
さて、勝利の余韻もさめ冷静になって考えてみる。
うん?あれ、なんかちょっと変だな?メーターは5,95だったよな?どさくさにまぎれていつのまにか7ユーロ払わされてしまっていた…。

ちなみに、翌日市内バルベリーニ広場からローマ・フィウミチーニ空港まで利用したタクシーの料金は35ユーロ。この運転手は、陽気な銀髪の老紳士でした。
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投稿者 royalkidsclub : 2004年08月05日 15:03

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